盲目の作曲家、演奏家、MoondogことLouis Thomas Hardin。角付きの兜をかぶった北欧神話風の出で立ちで、ニューヨークはマンハッタンの53丁目と6番街の交差点に立つ「6番街のヴァイキング」。彼はストリート・ミュージシャンとして活動しつつ、自作の詩や音楽に関する哲学的書物を販売し生計を立てていました。また、ジャズ・クラブの多い52番街にも近かったため、彼は数多くのジャズ・ミュージシャンたちにもよく知られており、ここでLeonard BernsteinやArturo Toscaniniといったクラシック音楽界の著名人たちに出会い、Charlie ParkerやBenny Goodmanとも親交を持ちました(後に彼が行った”Moondog”名義についての訴訟で、彼らはMoondog側に立ち、証言を行い勝訴に繋がりました)。彼は1940年代後半からSPやシングルで作品をリリースしはじめ、1953年にはEPICから10インチ・アルバム『Moondog And His Friends』を、そして1956年には自主盤として『Snaketime Series』をリリースします。『Snaketime Series』には先行してリリースされたプロトタイプの同名アルバムがリリースされていたことが知られています。
本作は、1956年にリリースされた『Snaketime Series』を受けて、Prestigeと契約。その第一弾として、『Snaketime Series』のPrestigeでの再発行という形でリリースされたのが『Moondog』(PR 7042, 1956年)。パーカションとピアノの「Caribea」ではじまると、赤ちゃんの泣き声と共にアジア風のメロディー、そして突然の日本語での”いいこねーコボ””コボはほんとうにかわいいわ”という女性の声。こちらにはMoondogの妻のSuzukoがヴォーカルとしてクレジットされています。全体通してこの期のMoondogらしい、ちゃかぽこしたパーカッションとアジアン・テイストな音像。この後、『More Moondog』(PR 7069, 1957年)、『The Story Of Moondog』(PR 7099, 1957年)と、Prestigeに計3枚のアルバムを残します。
<初版オリジナル判別ポイント>
○レコード
・黄NYCラベル
・フラット・エッジ
・RVG刻印
・耳
・深溝
○ジャケット
・コート
・446W
Prestigeの初版オリジナルに限らず、後発盤でも精査ご査定の上、高価買取させていただいております。
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