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【雑記第10回】聴き比べならぬ見比べ大会 Prince Lasha / The Cry! CONTEMPORARY – 後半

前半より

前回の長い前振りを経て、2枚の同じタイトルのレコード、Prince Lasha Quintetの“The Cry!”を見比べてみます。宜しくお願い致します。

まずジャケット。どちらもコーティング加工がされております。一般的なジャケットのコーティングの種類としてはラミネート・コーティングとニス・コーティングの2種類がありますが、これらはラミネート・コーティングです。

そしてジャケットの裏。これははっきり違います。左の裏ジャケには上部にロゴや住所記載、そしてテクニカル・データの項目があり、こちらの方が「古い」タイプのデザイン。従って左側がオリジナルの裏ジャケットになります。ただこれジャケット・デザインとしてはかなり切り替え期に近いものだと思います。

ジャケット上部に「テクニカルデータ」の欄がある方が古いタイプのデザイン

上部に「テクニカルデータ」欄が無く、下部にアドレス表記

次はラベルです。デザインは同じです。艶黒ラベルです。でもぱっと見で違うのが溝の形状。左は外周に近い辺りでの円周型の一般的な「溝」「深溝」などと呼ばれるもので、左は内側に近いところに円周型の溝、いわゆる「内溝」があります。この内溝がどうにもモヤっとします…。ヨーロッパのプレスでは内溝というのはよく見かけますが、USでのプレスでは「正史」で語られることはまずありません。というかほぼ見ないと言ってもいいくらいですが、Contemporaryではたまに出てきます。これはオリジナルの判別に使えるのでしょうか。

上下の刻印のズレを含めてまったく同じでした

「内溝」…

では、マトリックス。上下の刻印のズレを含めてもまったく同じです。末尾の枝番号は「D3」でこのプレスの流通盤に「D1」「D2」が存在するかは未確認です。そしてそのほぼ12時方向に「H」の刻印。この「H」の刻印はRCAハリウッド工場でのプレスを表すものです。ということで同じ工場での別ラインのマシンで同時期にプレスされたもの…と考えるのが妥当かなというところでしょうか。この後以降に内溝プレスが増えるという訳でもありませんし。なんでしょう、ヨーロッパからプレス・マシンでも輸入したのでしょうか。そんなの中の人にしか分からないですよね。それでもやっぱり内溝にもやもやします…この頃のプレス工場のお膝元レコード会社のRCAと言えば白文字から銀文字の切り替え期くらいなのですが、この期のRCAで内溝って見たことあります?なくないっすか?

上下の刻印のズレを含めてまったく同じでした

RCAハリウッド工場でのプレスを表す「H」の位置もまったく同じでした

という訳で左のレコードが完全オリジナル、右のレコードがジャケットはセカンド・プレスで、盤は…オリジナルとしちゃってもいいと思うんですよね、「内溝オリジナル」「オリジナル内溝プレス」とかで、でもはっきりとは言い切れなくって…というモヤモヤ内溝プレスでした。
お付き合いいただきありがとうございました。