お世話になります。セタガヤレコードセンター、買取担当です。
さて、本日も最近買取させていただいたレコードの中から厳選して一枚をご紹介させていただきます。
・アーティスト / ダニイル・シャフラン
・タイトル / バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
・型番 / 33 СМ 01935 – С 10-05416(а)
■参考買取価格 / ¥40,000
ダニール・シャフラン(Daniil Shafran)は、1923年にロシアのペトログラード(現サンクトペテルブルク)で生まれたユダヤ系のチェリストです。父はレニングラード・フィルハーモニー管弦楽団の首席チェリスト、母はピアニストで、音楽的な家庭環境で育ちました。10歳でレニングラード音楽院に入学し、アレクサンドル・シュトリメルに師事しました。1937年、14歳で全ソ・ヴァイオリン・チェロ・コンクールに優勝し、副賞として1630年製のアントニオ・アマティのチェロを授与され、生涯にわたり愛用しました。彼の演奏は、豊かな表現力と独自の音色、詩的な解釈で知られ、ソビエト時代を代表するチェリストとして高く評価されています。1997年にモスクワで逝去しました。
本日ご紹介のレコードは「ダニイル・シャフラン / バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲」です。
シャフランによるバッハの無伴奏チェロ作品全曲の録音は、彼が40代後半、演奏活動のピークとされる1970年代前半に行われたものです。1966年に初めて無伴奏を演奏会で取り上げて以降、彼はその解釈を深め、この録音に結実させました。
精確なボウイングや豊かなヴィブラートなど、シャフランの卓越したテクニックが余すところなく発揮されており、その演奏からは、バッハの音楽がもつ普遍性すら、まるで司祭が語るように深く感じ取ることができます。バッハ作品にある宇宙的な広がりや建築的な荘厳さとは別に、この録音では、バッハの人間味あふれる温かな側面が際立って聴こえてくるようです。音色や演奏の魅力を引き立てる絶妙なカッティングも印象的です。
本日ご紹介の盤はМелодияから発売されたUSSR盤アプレレフカ工場プレスです。
1951年から、長時間収録が可能な33回転(33rpm)のレコードがロシアでも発売されるようになりました。1950年代中ごろまでは、レコードの材質としてシェラックと塩化ビニールを混ぜたものが使われており、そのため盤は硬く重く、ノイズも多く発生する傾向がありました。
この時期から、いわゆる「ガストナンバー(ГОСТ番号)」がレコードにクレジットされるようになります。たとえば、ГОСТ 5289-50は78回転盤に使用されており、アプレレフカ工場でプレスされた最初期のLPレコードには、ガストナンバーの代わりに「Ty-1 кп」という表記が見られます。
ロシア各地のレーベルやブランドは、1964年に統一レーベルである「Мелодия(Melodiya)」へとまとめられました。
アプレレフカ工場は海外では「Aprelevka Plant」として知られ、Melodiya以前の時代には、レーベルデザインに「33」や「Dolgoigrayushchaya(長時間再生の意味)」が中心に描かれたものや、灯台(СССРロゴ)、松明のデザインが特徴的でした。1964年以降はMelodiyaレーベルで統一され、ピンク色や紺色のラベルで広く流通するようになります。
また、1979年からは「Московский Опытный Завод “Грамзапись”(モスクワ試作工場『グラムザピス』)」のクレジットが入ったラベルも存在しています。
なお、アプレレフカ工場には録音スタジオも併設されていたようで、全連邦録音スタジオやモスクワのラジオ放送局で収録された録音が多く残されています。
中古市場の価格は高騰傾向です。
セタガヤレコードセンターでは、 ダニイル・シャフラン / バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲を買取強化中です。帯付き、状態良好で現在の参考買取価格は¥40,000とさせていただいております。
大切なコレクションをご処分の際はぜひセタガヤレコードセンターにお声掛けくださいませ。