お世話になります。セタガヤレコードセンター、買取担当です。
さて、本日も最近買取させていただいたレコードの中から厳選して一枚をご紹介させていただきます。
・アーティスト / ジョージ・セル
・タイトル / ブラームス:交響曲第1番
・型番 / 英COLUMBIA/SAX 5279/ステレオ/赤セミサークルラベル初出
■参考買取価格 / ¥12,000
ジョージ・セル(1897 – 1970)は、ハンガリーのブダペスト出身の指揮者、ピアニストです。あまりに精密かつ禁欲的で客観的な演奏で有名で、「完璧主義者」と評されています。
ハンガリー人の父とスロバキア人の母の間に生まれ、幼くしてピアノ演奏に才能を示し、「神童」と呼ばれました。3歳からウィーン音楽院でピアノ、指揮、作曲を学び、若干16歳でウィーン交響楽団を指揮して指揮者としてデビュー。青年期までは作曲家としての作品も数多く残しましたが、最終的には指揮者の道を選び、ドイツ各地の歌劇場でキャリアを積んでいきました。
ベルリン国立歌劇場の第1指揮者やプラハのドイツ歌劇場音楽総監督就任など、国内で目覚ましい活躍を続けていましたが、ナチの台頭や第二次世界大戦の影響によりアメリカに活動の場を移しました。
戦後にクリーヴランド管弦楽団の常任指揮者に就任すると、管弦楽団の改革に大なたを振るい、決して一流とは言えなかった同楽団を鍛えぬいた結果、全米の「ビッグ・ファイブ」と呼ばれる第一級のオーケストラのひとつとして高い評価を得るに至りました。
晩年の1970年にはクリーヴランド管弦楽団とともに、日本万国博覧会を記念した企画の一環として来日公演を行い、日本でも極めて高い評価を受けました。
本日ご紹介のレコードは「ジョージ・セル / ブラームス:交響曲第1番」です。
セルはしばしば“機械的”と評されますが、その精密さこそが彼の音楽の核心だと感じます。表面的に「ベートーヴェンの10番」などと揶揄されがちなブラームスの交響曲第1番も、本質はまったく異なる世界を描いた作品です。重厚で力の入った演奏が多いなか、セルは冷静で緻密なアプローチを貫きます。冒頭の序奏から柔らかで美しい響きが広がり、雄大な主旋律の背後に潜む対位線が自然に浮かび上がってくる点は特筆すべき魅力です。とりわけ第1楽章展開部の終盤では、強い緊張感を保ちつつも各楽器のバランスが見事に統制され、セルの精妙なコントロールが際立ちます。全体として圧倒的な熱量よりも構築美が前面に出る演奏ですが、作品本来の重苦しさに違和感を覚える方にとって、新たな魅力を発見できる一枚です。The Cleveland Orchestraとの1967年の録音は、今なお透明な光を放つ名演と言えます。
本日ご紹介の盤は1961年にColumbiaから発売されたUK・ステレオLP盤です。モノ盤CX 5279も存在しますが、本盤の中古市場の価格は高騰傾向です。
セタガヤレコードセンターでは、ジョージ・セル / ブラームス:交響曲第1番を買取強化中です。帯付き、状態良好で現在の参考買取価格は¥12,000とさせていただいております。
大切なコレクションをご処分の際はぜひセタガヤレコードセンターにお声掛けくださいませ。