お世話になります。セタガヤレコードセンター、買取担当です。
さて、本日も最近買取させていただいたレコードの中から厳選して一枚をご紹介させていただきます。
・アーティスト / ピエール・フルニエ
・タイトル / バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
・型番 / 仏FESTIVAL CLASSIQUE/3LP/ステレオ 品番CFC60014
■参考買取価格 / ¥40,000
ピエール・フルニエ(Pierre Fournier, 1906年6月24日 – 1986年1月8日)は、20世紀を代表するフランスのチェリストで、「チェロの貴公子」とも称されました。気品に満ちた音色、完璧なテクニック、そして知的かつ深い音楽解釈によって、クラシック音楽界で不動の地位を築きました。
彼はパリで生まれ、幼い頃に小児麻痺を患ったことをきっかけに、それまで学んでいたピアノを断念し、チェロに転向します。パリ音楽院では首席で卒業し、早くからその才能を高く評価されました。ソリストとしてのキャリアをスタートさせた後は、ヨーロッパを中心に活躍し、戦後はアメリカ、日本など世界各国で演奏活動を展開しました。
フルニエの演奏は、ただ技巧的に優れているだけでなく、作品の本質を誠実に伝えようとする姿勢に貫かれていました。特にJ.S.バッハの《無伴奏チェロ組曲》の録音は、その精緻さと詩的な表現で多くのファンに支持され、現在でもチェロ演奏の名盤として広く聴かれています。
また、彼はブラームス、フランク、ドビュッシーといったロマン派〜近代の作品も得意とし、多くのピアニストと共演しながら優れた録音を残しました。特にヴィルヘルム・バックハウスとのブラームスのチェロ・ソナタ録音は、両者の円熟した音楽性が響き合う名演として知られています。
晩年はスイスに居を構え、演奏活動のかたわら後進の指導にも尽力しました。ジュネーヴやザルツブルクでマスタークラスを開講し、多くの若い音楽家たちに影響を与えました。
1986年にこの世を去ったあとも、ピエール・フルニエの演奏は録音を通して今なお多くの人々に愛され、チェロという楽器の魅力を伝え続けています。彼の音楽は、静謐でありながら情熱的であり、聴く者の心に静かに深く染み入ります。
本日ご紹介のレコードは「ピエール・フルニエ / バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲」です。
ピエール・フルニエによるこの無伴奏演奏は、まさに心を打つ名演です。孤独や悲しみといった感情を深くたたえながらも、どこかあたたかく、優しさに満ちた音色が静かに響き渡ります。伴奏のないソロ演奏でありながら、そこには豊かな情景が浮かび、ゆったりと気高く音楽が流れていきます。技巧に頼らずとも、演奏者の真摯な思いがあれば、これほどまでに聴く者の心を動かすことができるのだと実感させてくれます。
無伴奏での即興演奏は、演奏技術のみならず、その人の音楽観や作曲的感性までもが露わになる、非常に重要な演奏形態です。フルニエの演奏には、その一音一音に祈りが込められているようで、静かな環境で聴くと、まるで彼自身の姿が目に浮かぶようです。たとえ写真を見たことがなくても、音を通じて彼の存在を感じられるのです。
この演奏を聴いていると、自然と自分自身との対話が始まります。他人の作品であっても、自分が作ったかのように深く共鳴することで、これほどまでの演奏が生まれるのでしょう。フルニエの音楽は「楽器との対話」とも言えるもので、無伴奏であるにも関わらず、彼と楽器のふたりがそこで語り合っているように感じられるのです。
独ARCHIV盤などが有名ですが、本盤は1978年にフランスのFestival Classiqueから発売された3LPボックスです。
発売から半世紀近く経過し、大変希少なため入手するのは大変難しく中古市場の価格は高騰しています
セタガヤレコードセンターでは、ピエール・フルニエ / バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲を買取強化中です。帯付き、状態良好で現在の参考買取価格は¥40,000とさせていただいております。
大切なコレクションをご処分の際はぜひセタガヤレコードセンターにお声掛けくださいませ。