お世話になります。セタガヤレコードセンター、買取担当です。
さて、本日も最近買取させていただいたレコードの中から厳選して一枚をご紹介させていただきます。
・アーティスト / マリア・ジョアン・ピリス/モーツァルト
・タイトル / ピアノ・ソナタ全集
・型番 / 国内COLUMBIA 8LPボックス 品番OQ-7214~21-N
■参考買取価格 / ¥10,000
マリア・ジョアン・ピリス(1944年生まれ)は、ポルトガル出身の世界的ピアニストです。幼少期から音楽の才能を発揮し、4歳で初舞台を踏み、7歳でモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏して注目を集めました。リスボン国立音楽院で学んだ後、ドイツでも研鑽を積み、国際的なキャリアを築きました。モーツァルト、ショパン、ベートーヴェンの作品において特に高い評価を受けており、その繊細で詩的な演奏は世界中のファンに愛されています。また、音楽教育にも力を注ぎ、若手音楽家を支援する活動や、教育プロジェクト「パルティトゥーラ」の創設など、社会貢献にも積極的です。演奏家としてだけでなく、教育者・思想家としても多くの尊敬を集める存在です。
本日ご紹介のレコードは「マリア・ジョアン・ピリス/モーツァルト /ピアノ・ソナタ全集」です。
「まるでベートーヴェンの音楽でも弾いているかのようなダイナミックなモーツァルト」「この人のモーツァルトは、実に生きていて、動いている。決して仮面をかぶったような、自己を殺したモーツァルトではない」──吉田秀和氏が約35年前に記したこれらの評は、ピアニスト、マリア・ジョアオ・ピリスの本質を見事に言い当てています。
当時、まるで少年のような無垢さを輝かせていた若き日のピリスが、東京・イイノホールにこもり、ひと月かけて録音したモーツァルトのピアノ・ソナタ全集は、まさに伝説的な名盤として語り継がれています。
モーツァルトのソナタは、一見すると平易な楽譜であることから、ピアノ学習者が初期に取り組むレパートリーとしても知られていますが、その表現の深さと難しさにおいては、まさに「プロにとっての踏み絵」とも言える存在です。本作には、K.545や「トルコ行進曲付き」のK.331、短調の傑作K.310など、特に有名なソナタが収められています。
ピリスの演奏は、激情を前面に押し出すのではなく、感覚的な洗練と内省的な美しさが際立っています。細部のタッチは繊細で、きらめくようなパッションの断片が音の隙間にひっそりと息づいており、まるで春の陽射しのようにやさしく、温かく私たちの心に差し込んできます。
そのサウンドは透明感に満ち、決して硬質すぎることはなく、バランスの取れたクリアな響きが魅力です。ピリスならではの繊細で深い音楽性が、モーツァルトの精神を見事に現代へと蘇らせた、まさに珠玉の演奏といえるでしょう。
本日ご紹介の盤はDenonから発売されたボックスセットです。
後にCDでも復刻されていますが、レコードでの復刻はされていません。
日本盤のみのジャケットが採用された本セットは大変希少で中古市場の価格は高騰傾向です。
セタガヤレコードセンターでは、マリア・ジョアン・ピリス/モーツァルト /ピアノ・ソナタ全集を買取強化中です。帯付き、状態良好で現在の参考買取価格は¥10,000とさせていただいております。
大切なコレクションをご処分の際はぜひセタガヤレコードセンターにお声掛けくださいませ。