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荒井由実のレコードジャケット

荒井由実 / ひこうき雲

ETP-9083 銀帯補充票付/ライナー付/見開き/ALFA刻印ジャケット

買取価格80,000円

ジャンル: JAPANESE

子ジャンル: ニューミュージック/シティポップ

※相場は変動しますので記載している買取価格は買取保証額ではございません。

作品紹介

 本作のレコーディングには実に一年もの制作期間がかけられたそうですが、そのほとんどは、荒井由実(ユーミン)のヴォーカル指導に費やされたとか。とは言え、彼女の音楽の魅力は、そのどこか危うく繊細で、でも今見ている風景のその向こう側の世界をいつでも見ている(言い方を変えれば妄想少女みたいな)ようなその歌詞であり、特別美声というわけではないけれど、彼女自身の豊かな感受性の発露みたいな瑞々しい歌声であり、そしてその世界観をふんわり柔らかく包んだメロディーであったりするので、その世界観を本当に大事に周囲の大人(の音楽家やプロデューサーたち)が彼女を見守る姿が目に浮かぶような作品です。

 少し歳上ですが、彼女と同じような感性で、自分たち自身のアイデンティに添って新しい音楽を創り上げていたキャラメル・ママ(細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆)の演奏が、そんな彼女の曲や歌とシンクロした瞬間に、日本に於けるポップスというものが、古い扉を閉じて、新しい扉を開けたのだと思います。その扉はあまりにそっと開いたので、最初はそれに気付く人が少なかったからなのか、本作は発売当時それほどセールスをあげていません。でも、音楽産業資本が総力をあげてプロモーションして華々しくデヴュー。そんな古い形式にこの作品が縛られる事なく、そっと扉が開けられた事を私たちは喜ぶべきなのかもしれません。
深夜放送のDJによる紹介や、その音楽に触れた人の、自分がその歌から受けた感動を誰かに伝えたいという気持ち(口コミ)、それがいつの間にか大きな波紋となり伝わっていったような人気の広がり方。それこそこのアルバムには相応しいものです。

 プロコル・ハルムやフランソワーズ・アルディなどの音楽、ランボーの詩など、まだ自分の目で見たことのない世界から聴こえて来た音楽や詩が、彼女の音楽世界を創り上げる元となっている、とはよく言われる事ですが、雲や空、そして雨や風、海といった自分を取り巻く世界からも豊かなインスピレイションを得ていくその感受性を育んでくれたもの(それは多分、彼女が多摩地区に生まれ育った事と関係しているだろう)にも私たちは感謝すべきではないでしょうか。
多摩の自然をよく知る人であれば、(東京都心とは違い)空の大きさや、朝焼けや夕暮れの空の雲の色彩の美しさなんかも実感できるはずです。
タイプは違いますが、忌野清志郎も、多摩に生まれ育ち、そんな感性を育み、それを音楽のカンバスに写し取るような素敵な曲をたくさん残してくれています。

 音楽家であると同時に芸術家。こんな二人を、同じ時代にもった事を、本当に幸せな事として受け止めたいですね。

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