東芝音楽工業/AP-9009/初回ボックス/丸帯/赤盤/写真集/ライナー
買取価格120,000円
ジャンル: ビートルズ
子ジャンル: ビートルズ国内盤LP
※相場は変動しますので記載している買取価格は買取保証額ではございません。
本作は13枚目のオリジナル・アルバムと公式に言われていますが、内容は『ゲット・バック・セッションズ』をグリン・ジョーンズが最終的に映画のサウンド・トラック用に最終ミックスしたものを、ジョン・レノンとジョージ・ハリソンがフィル・スペクターにテープを渡し追加ミックスを依頼し完成をみたという、かなり込み入った経緯を経て世に出た作品です。
マッカートニーはスペクターの最終ミックスに強い不満を持ち(特に、自身が書き歌った「ロング・アンド・ワイディング・ロード」へのオーケストラ・サウンドの追加に対して起訴まで考えたそうだが)、契約上の理由でアルバム発売を履行せざるを得なくそれを諦めたとも言われる作品です。確かに、ストリングスが被さる事によりドラマチックさが強調され過ぎていて、この曲に込められている彼の思いの深さのようなものが損なわれている嫌いもあります。
ファンにとっても手放しで絶賛する、そんな気持ちになり難い作品だと思われますが、アルバム・タイトル曲でも、上澄みの化粧を突き抜けて来る赤裸々な悲しみと切ない願いや、「ゲット・バック」でのネイキッドな歌声と演奏に、マッカートニーのこのバンドへの強い思いを感じ取り、胸を熱くした人もたくさんいるのではないでしょうか。
リヴァプールからロンドンへ。そんな距離感以上の遥か遠くへ来てしまった彼らの、最後の別れの記念撮影みたいなアルバムとも言えるので、頻繁に聴くような作品ではなく、そっと棚にしまっておき、時々棚から取り出して中を開いてみる(すると、あの頃の自分の事なんかも色々思い出して、感慨にふけったりする)。そんな付き合い方が一番似合いそうなアルバムです。