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【雑記第22回】 Blue Note未発表音源① – LTシリーズについて 前編

さて、第19回から第21回の3回に分けた「Bobby HutchersonのBlue Note未発表音源について」いかがでしたでしょうか。
今回はこのBlue Noteにおいて未発表音源が発掘された経緯をざっくりとお話しできればと思います。

Blue Noteの未発表音源を手掛けたのはCharlie LourieとMichael Cuscunaの2人。United Artists傘下での75年からのお仕事です。

この当事のBlue Noteの状況をざっくり振り返って見ますと、「Blue Note日本盤はじめて物語」でも随所で書かせていただきましたが、買収/転売/合併が次々と起きている状況であり、69年にはUnited ArtistsとLibertyの合併、そして1971年にLiberty / UA Recordsは社名からLibertyの名前を削除しました。そんな中でUA傘下において「BN-LA」とのプリフィックス番号を持つ形でBlue Note作品はリリースされていきますが、徐々に再発盤が中心となり、“BN-LA 853H Horace Silver – Silver ‘N Percussion”が1977年11月12日に録音されて以降、長らく新録は途絶えた状態となります。実質、こちらの作品が直系Blue Noteの最終録音と言える1枚です。

*実質の直系Blue Noteの最終録音と言えるHorace Silverの“Silver ‘N Percussion”

このような状態の中でMichael Cuscunaが現れます。彼は音楽プロモーターであり、またAtlanticはじめ多くのレコード会社でプロデューサーとして働いていました。その中で出会ったミュージシャンからロスト・テープの話を聞き、それらのセッションをノートにぎっしりまとめ、1975年にニュー・ヨークで行われていた“Donald Byrd – Steppin’ Into Tommorow”のリリース・パーティーにその自作ノート片手に向かいました。そこで当時のBlue Note担当のCharlie Lourieに直談判したとのことです。
「Blue Noteの未発表音源のリリースをしませんか?私に任せてください」

この時、Charlie Lourieは「The Blue Note Re-Issue Series」という2枚組の再発シリーズを手掛けていました。そこにMichael Cuscunaが加わり、彼による禁制Blue Note倉庫での「発掘」をメインとした作業が始まります。そこにあるテープには何のラベルも貼られておらず、貼られてたとしても「John Coltrane」とか「Never Issue」とだけ書かれたテープのみ。と言った状況で、記憶と資料と知識、そしてアーティストたちに聴き込みを行い、録音日、参加ミュージシャン、曲名等をセッション毎にまとめ体系化し、また単独で未発表音源のみをリリースする「LTシリーズ」にも突入し、多くのロスト・セッションをリリースに漕ぎ着けていきました。

*Michael Cuscunaが関わった「The Blue Note Re-Issue Series」においての未発表音源作

この様に日の目を見た作品の中には、内容的/商売的にお蔵入りとなった物やアウト・テイク的セッションも多数ありました。但し、契約の関係だったり、財政的なものであったりが理由でお蔵入りとなってしまっていたテープももちろんあったでしょう。またMichael Cuscunaは「Blue NoteはAlfred Lionのワンマン経営だったからこそ、別の視点での発掘に価値がある」と述べていたようです。既にUAの一部となってしまい、Blue Noteとしての新録が行われなくなってしまったこの時期、Michael Cuscunaは奮闘します。良かれ悪しかれ、あまりフュージョンを良しとしなかった日本のジャズ・マーケットからもキング未発表シリーズとして多くのタイトルが発表されています。この辺りは「Sonny Clarkは日本向け、Ike Kebeckはアメリカ向け」などコントロールされていたとのことです。

実際のところ、LTシリーズが売り上げ的に貢献度の低かった事は、パンチ・ホールやカット盤が非常に多い事からも伺えますが、あのBlue Note「らしからぬ」ジャケット・デザインも不評の一員でしょうか。これらLTシリーズの一部はキングの「ブルーノート世界初登場」の再発を含んでおり、また「ブルーノート未発表シリーズ」として既に米国LTシリーズで発表済みの音源を独自ジャケットをつけて“GXK 8171”から“GXK 8190”の型番号で20タイトルがリリースされています。

以下が、そのどちらの日本発売にも重複せず、LTシリーズのみでリリースされたBlue Note音源からの作品です。

LT-1031 Lee Morgan – Taru
LT-1037 Stanley Turrentine – In Memory Of
LT-1038 Larry Young – Mother Ship
LT-1056 Wayne Shorter – Etcetera collector
LT-1076 Leo Parker – Rollin’ With Leo
LT-1081 Hank Mobley – Third Season
LT-1085 Jackie McLean – Vertigo
LT-1086 Bobby Hutcherson – Medina
LT-1088 Art Blakey And The Jazz Messengers – Africaine
LT-1089 Ike Quebec – Congo Lament
LT-1091 Lee Morgan – Infinity
LT-1092 Jimmy Smith – On The Sunny Side
LT-1095 Stanley Turrentine – Ain’t No Way
LT-1096 Donald Byrd ‎– The Creeper

ちなみにMichael Cuscuna、Charlie Lourie、彼ら2人は後年Mosaic Recordsと言うレーベルを立ち上げ音源のサルベージを続けています。

次回はこれら音源からいくつかご紹介できればと思います。

後編