前編より
Micheal CascunaとCharlie LourieによってBlue Noteのご禁制の倉庫に眠っていた未発表音源は、「The Blue Note Re-Issue Series」を経て、「LTシリーズ」へと突入します。
同時に日本ではキング・レコードより「ブルーノート世界初登場」として未発表音源が世に出ており、LTシリーズの一部はキングの「ブルーノート世界初登場」の再発を含んでおり、また「ブルーノート未発表シリーズ」として既に米国LTシリーズで発表済みの音源を独自ジャケットをつけて“GXK 8171”から“GXK 8190”の型番号で20タイトルがリリースされています。
そのどちらの日本発売にも重複せず、「LTシリーズのみ」でリリースされた作品をいくつかご紹介したいと思います。
●LT-1031 Lee Morgan – Taru
録音 February 15, 1968
Lee Morgan – trumpet
Bennie Maupin – tenor saxophone
John Hicks – piano
George Benson – guitar
Reggie Workman – bass
Billy Higgins – drums
ジャズ・ロックあり、モード、バラードありの新主流派らしい作風。6曲のうち2曲にGeorge Bensonが参加。Blue Noteには参加作の少ないJohn Hicksがピアノにつき、そのJohn Hicks作曲の“Avotcja One”など。
●LT-1038 Larry Young – Mother Ship
録音 February 7, 1969
Larry Young – organ
Lee Morgan – trumpet
Herbert Morgan – tenor saxophone
Eddie Gladden – drums
Blue Note最終作となった“Heaven On Earth”よりも後の録音に当たるため、実質のLarry YoungによるBlue Note最終録音。この期のレギュラー・トリオにLee Morganを加え、なかなかにハードな“Mother Ship”。
●LT-1085 Jackie McLean – Vertigo
録音 February 11, 1963
Jackie McLean – alto saxophone
Donald Byrd – trumpet
Herbie Hancock – piano
Butch Warren – bass
Tony Williams – drums
*1曲のみ別録音
これぞBlue Note新主流派のエリートたちといった顔ぶれ。Donald Byrd作曲のジャズ・ロック”Dusty Foot”はMcLeanらしく尖った印象。そして彼独特のピッチを意図的にずらした浮遊感がもどかしくも虜にさせる“Vertigo”。
●LT-1088 Art Blakey And The Jazz Messengers – Africaine
録音 November 10, 1959
Art Blakey – Drums
Lee Morgan – Trumpet
Wayne Shorter – Tenor Sax
Walter Davis, Jr. – Piano
Jymie Merritt – Bass
Dizzy Reece – Congas
Lee MorganとWayne Shorterのこの期のレギュラー・クインテットにDizzy Reeceのコンガを2曲にフィーチャー。ド頭からのBlakeyの「ナイアガラ・ロール」炸裂のアフロ・キューバン・ハード・バップ“Haina”。
●LT-1089 Ike Quebec – Congo Lament
録音 January 20, 1962
Ike Quebec – tenor saxophone
Stanley Turrentine – tenor saxophone
Sonny Clark – piano
Milt Hinton – bass
Art Blakey – drums
“Bossa Nova Soul Samba”と同年録音で、“It Might As Well Be Spring”と“Bossa Nova Soul Samba”の間の録音。軽やかなカリブ・ラテン・ジャズ“B.G.’s Groove Two”、モード・ジャズの“Congo Lament”など。
●LT-1096 Donald Byrd – The Creeper
録音 October 5, 1967
Donald Byrd – trumpet
Sonny Red – alto saxophone
Pepper Adams – baritone saxophone
Chick Corea – piano
Miroslav Vitous – bass
Mickey Roker – drums
Sonny RedとPepper Adamsとの3管フロント、Chick CoraにMiroslav Vitousの参加も珍しい。階段を千鳥足で昇り降りするようなChick Coraらしいピアノ・ソロにバッキングを中心としたCorea作曲の“Samba Yantra”。
以前はエサ箱にて安価で見かけたLTシリーズですが、ここ最近では価格のついている作品もちらほら出てきています。未発表音源ですので、言ってもこれらが「オリジナル」ですし。ただ、やっぱりデザインの人気がないのか、後発ではオリジナル・ジャケットが付けられて、そちらの方が値段が付いたりとか…。
ちなみにこの時期の親会社が権利を持っていたため、Pacific Jazzの音源もLTシリーズには含まれています。
そんな「LTシリーズ」でした。
以上、お付き合いいただきありがとうございました。