前編より
イタリアのジャズ・ライターであったGiacomo Pelliciottiによって1975年に設立されたBlack Saint。Black Saintはツアーでイタリアにやってきたアメリカからのミュージシャンの録音を行い、リリースを続けます。しかし、財政的には非常に苦しく、イタリアのプロデューサーのGiovanni Bonandriniが1978年に経営を引き継ぎます。Giacomo Pelliciottiは引き続き音楽ライターとして活動を続けました。経営を引き継いだGiovanni Bonandriniは1979年に姉妹レーベルとしてSoul Noteを発足させます。
Soul Noteの第一弾としてリリースされたのがBilly Harper Quintetによる“In Europe”です。またしてもBilly Harper。愛ですね。ただ、Black SaintにおいてもSoul Noteにおいても、それぞれのレーベルの第一弾のみで他に録音は残しておらず、これらの2作のみ。それもちょっと不思議です。
10番までのカタログは以下です。
SN 1001 Billy Harper Quintet / In Europe
SN 1002 Beaver Harris 360 Degree Music Experience / Beautiful Africa
SN 1003 Max Roach Quartet / Pictures In A Frame (Album)
SN 1004 George Adams – Don Pullen / Don’t Lose Control
SN 1005 Dannie Richmond Quartet / Ode To Mingus
SN 1006 Martha Bass, Fontella Bass, David Peaston / From The Root To The Source
SN 1007 George Adams – Dannie Richmond / Hand To Hand (Album)
SN 1008 Bill Dixon / In Italy – Volume One
SN 1009 The George Russell Sextet / Electronic Sonata For Souls Loved By Nature
SN 1010 Andrew Hill / Faces Of Hope
「アメリカのフリー・ジャズをイタリアに紹介したい」と設立したBlack Saintとあまり顔ぶれは変わりません。というかほぼほぼ被りです。全体を見て強いて言えばEnrico Pieranunzi、Giorgio Gaslini、Claudio Fasoliといったイタリア人ジャズ・ミュージシャンや、Art Farmer、Kenny Drew、Tommy Flanagan、Jimmy Giuffre、Lee Konitzといったスタンダード寄りのミュージシャンも起用しているといったくらいです。
ラベルについては特段の遍歴はありませんが、“SN 1001 Billy Harper Quintet / In Europe”と“SN 1002 Beaver Harris 360 Degree Music Experience / Beautiful Africa”にはオリジナル・ラベルが存在します。レーベル開設ご祝儀でしょうか。二作目まででめんどくさくなってしまったでしょうか。ちなみに“SN 1001 Billy Harper Quintet / In Europe”にはジャケット・デザインにおいてもオリジナル/セカンド・デザインが存在します。
Black Saint、Soul Note合わせて500タイトルほどをリリースするビッグ・レーベルとなった現在ですが、近年新たにイタリアのCAMが権利を取得し、CDでの再発を進めています。ひょっとしたら前人未到の全カタログ視聴にどなたかチャレンジしてみませんか?
以上、お付き合いいただきありがとうございました。