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【雑記第30回】John Coltraneの遺作たち – 後編

中編より

Alice Coltraneが参画することで、正統性を得たImpulseのColtrane未発表音源のサルベージ・ワークス。
前編でご紹介させていただいた“A Love Supreme – Live In Seattle”のように非常に多くの作品が現在までリリースされていますが、その一部をご紹介し、本コラムを終了したいと思います。

●Selflessness – Featuring My Favorite Things
録音 : 1963-07-07, 1965-10-14
リリース : 1969

Coltraneの死後未発表作として最もポピュラーな作品の1つ。“My Favorite Things”と“I Want To Talk About You”は1963年のニュー・ポートでのライヴ・ヴァージョンですが、この期のレギュラー・ドラマーのElvin Jonesは薬物治療のため入院しており、代役にはRoy Haynesが立てられています。その違いも聴きどころ。

●Transition
録音 : May 26 & June 10, 1965
リリース : July 1970

“Ascension”の直前に録音された未発表音源。B面にはフリー爆発手前の1つの組曲、A面にはタイトル曲“Transition”とバラード“Dear Lord”。ジャケットのクレジットは黄金カルテットによるものとなっていますが、この“Dear Lord”だけはドラムスはRoy Haynes。初期に日本盤のライナーなどでも本曲もElvin Jonesと紹介されており、どこかのタイミングで判明したんでしょうか。その“Dear Lord”が尊すぎるバラード。

●Live in Seattle
録音 : September 30, 1965
リリース : 1971

Pharoah Sanders、Donald Garrettを加えた三管セクステットで行われたライヴ録音。さて、このライヴが行われた日付でなにかピンと来ることはありますでしょうか。同じく未発表音源であった“OM”録音の前日に行われたライヴなのです。“OM”にもPharoah Sanders、Donald Garrettが参加していますし、何か本アルバムからインスピレーションがあったのでしょうか。

●Interstellar Space
録音 : February 22, 1967
リリース : September 1974

Coltraneの没年に行われたセッションで、Rashied Aliのドラムとのデュエットという彼としては珍しい録音。フリー~ニュー・ジャズ界隈でこのようなデュエット作が残された時期でもありました。ちなみにRashid Aliは録音直前まで知らされておらず、ヴァンゲルダー・スタジオに着いた時に誰もいないので、同伴していた友達曰く、Aliは「あれ?誰もいないじゃん」と困惑し、その後Coltraneが来た時にも「誰も来てないんですけど?」って訊いたそう。

●Infinity
録音 : February 2, 1966, June 16, 1965, September 22, 1965
リリース : September 1972

「問題作」としてリリース当時から酷評されることが多かったアルバムですが、今後評価が変わってきそうだなと思います。Coltrane生前のロストテープに、Alice他一部ミュージシャンを迎えてハープやストリングス、タブラやベース等をオーヴァー・ダビングしました。当時のジャズ・ファンは「余計なことしないで!」って感じではありましたが、Aliceの評価が高まる中、このサイケデリックな世界観はきっと強く受け止められていくでしょう。

他にも未発表音源は多くリリースされていますが、この度のご紹介はこのくらいにて。
以上、お付き合いいただきありがとうございました。