メニュー

【雑記第29回】John Coltraneの遺作たち – 中編 “Cosmic Music”

前編より

続いては“Cosmic Music”です。

このアルバムは、生前のColtraneの楽曲が2つ、そしてColtraneの死後にAlice Coltraneが録音した楽曲が2つの計4曲で構成されています。実は本作はImpulseからリリースされる前にAliceの手によって一度自主盤として発表されています。
この自主盤は2種類のデザインのジャケット、2種類のセンターラベルのデザインがありますが、このモノクロのジャケット、波模様の薄紫のラベルが初版とされています。

本作について少し詳しく見てみましょう。

1966年の2月2日に録音されたColtraneによる“Manifestation”と“Rev. King”は未発表のままそのテープをAliceが所持していました。その録音はColtrane夫妻が初めて録音した音源でした。
そしてAliceは新たに1968年1月に2曲を録音しました。この2曲はAliceにとって初のリーダー音源となります。このアルバムを締めくくる“The Sun”では冒頭にColtraneとPharoah Sandersが「すべての創造物に平和と愛と完璧がありますように」と唱えるパートが挿入され、そして一番最後、演奏終了後にColtraneが「Alice ?」と彼女を呼ぶ声が小さく入っています。(↓「Alice?」の声は4:00頃)

彼女が保管していた夫Coltraneとの初めての録音テープ、そしてColtraneの死後にAliceが録音したもの、そこに亡夫Coltraneが彼女に優しく呼びかけ幕を閉じるアルバムです。想いがすごいです。
因みになのですが、自主盤の方にはこの「Alice ?」という呼びかけは収録されていません。今聴いたので確かです。というか今知りました。これはあまり知られていないかも?ですので、Impulseから再リリースの際に新たに加えられたものになります。この辺りもきっと当事者たちにしか知らないエピソードがあるのでしょう。この「Alice?」との呼びかけが最終的に入れられた経緯とか想像してしまいますよね。
ちなみにマトリックスは「AU 4950 A」「ARC-4-1-8」そして文字が彫られているのですがエンジニア名でしょうか、何かの短い文章でしょうか…判読できた方いらっしゃいましたら是非ご教示を…。

そして、このリリースからすぐにImpulseの担当者がAliceにコンタクトを取り、AliceのImpulse専属契約も含めて、“Cosmic Music”のImpulseからのリリースを持ち掛けます。「私たちならもっと美しいジャケットにして世界中に流通できます」と、なんか「そっとしておいて」って言いたくなる感じですが、Aliceはこれを喜んで受け入れました。そして自主盤リリースの翌年1969年にImpulse版“Cosmic Music”が世に出ることとなるのです。

その際にColtraneの“A Love Supreme”の横顔を引用した写真とともに「PRODUCED BY COLTRANE RECORDS」のロゴが入りました。このロゴは今後ImpulseにおいてAlice Coltraneがプロデュースにかかわったタイトルに使用されていきます。したがって、Alice Coltraneの自身作と一部のJohn Coltraneの未発表作に使用されることとなります。
ただ、このロゴの仕様もどこまで厳密かは不明です。Alice ColtraneのImpulse作品は“ほぼ”ジャケットにロゴが掲載されているのですが、“Ptah, The El Daoud”だけにはロゴがありません。Coltraneの未発表音源もあったりなかったりしながらこの後も続きます。

後編へ続く