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【雑記第28回】John Coltraneの遺作たち – 前編

ジャズの歴史に大きな足跡を残し、彼の後のジャズは全て彼の影響下にあると言ってしまえる(と個人的には思っている)数少ない偉大なジャズ・ミュージシャン、John Coltrane。

1967年の早すぎる彼の死のあと、死後50年以上経過してなお未発表音源が発掘され、新譜として発表されています。つい先日リリースされたのが“A Love Supreme:Live in Seattle”です。Coltraneの“OM”にも参加していたリード奏者のJoe Brazilが1965年の10月2日行われたライヴを録音しており、そのテープが彼の死後に発見されたため、今回の発売に至りました。

●A Love Supreme – Live In Seattle
録音 : October 2, 1965.
リリース : October 22, 2021

黄金カルテットにPharoah Sanders、Carlos Ward、 Donald Garrettを加えた編成。“ Ascension”録音後のツアーであり、この時期のColtraneが目指したグループの拡充、そしてその演奏はオリジナルよりもアヴァンギャルドになっており、さらには“A Love Supreme”を組曲として演奏した数少ない録音という点も貴重な発掘音源。

John Coltraneは、1967年7月17日にロングアイランドのハンティントン病院で40歳で肝臓癌で亡くなりました。
そんな彼の死後に発表された作品を少し見ていきたいと思います。

Coltraneの死の3日前の7月14日に、コルトレーンはプロデューサーのBob Thieleと会い、その同年の初旬に録音された音源をタイトル“Expression”としてリリースすることで合意しました。そしてリリースされたのは同年の9月。そのジャケットには彼の没日が記載され、ライナーノーツには追悼の言葉で埋め尽くされています。彼の突然の死は、本作を誰も予想だにしていなかった遺作としてしまいました。カルテットでの編成で、前衛さよりもモード・ジャズの度合いの高い1枚。

●Expression
録音 : February 15, 1967 & March 7, 1967
リリース : September 1967

続いてリリースされたのが“OM”、1968年にリリースされた1965年の録音です。最近は本作の人気も上がってきていますが、Coltraneの指示でお蔵入りされたこともあって評価はまちまちです。また、録音時にColtraneがLSDを使用していたという証言(異議もあり)や、当時のサイケデリック・ロックにアピールすべく(Coltraneの意向を無視して)リリースしたImpulseの姿勢なんかも本作の評価に影響を及ぼしていたでしょう。インド宗教の呪文「オーム」をタイトルに冠し、ヒンドゥー聖典の詩句の朗読から始まるイースタン・スピリチュアル・フリーの約30分1曲の塊。3管ツインベースのセプテット。

●OM
録音 : October 1, 1965
リリース : January/early February 1968

続いてのリリースとなる“Cosmic Music”からは次回です。

中編へ続く