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【雑記第26回】John Coltraneの“Assension” 「Edition I」と「Edition II」 – 前編

1965年にリリースされたJohn Coltraneのフリー宣言作と言われ、その発表から半世紀以上たった今においても度々「問題作」として語られるアルバム“Assension”。このアルバムには2つのテイクがあり、初版としてリリースされたものが「Edition I」、そしてリリースから数か月後に差し替えられたものが「Edition II」となっています。discogs上でも2つのマスターに分かれています。

「Edition I」のページ

「Edition II」のページ

大きなところではソロ回し、また収録時間が異なっており、以下のようになっています。

・「Edition I」- ジョン・コルトレーン→デューイ・ジョンソン→ファラオ・サンダース→フレディ・ハバード→アーチー・シェップジョン・チカイ→マリオン・ブラウン→マッコイ・タイナー→アート・デイヴィス&ジミー・ギャリソン→エルビン・ジョーンズ (38分31秒)

・「Edition II」 – ジョン・コルトレーン→デューイ・ジョンソン→ファラオ・サンダース→フレディ・ハバード→ジョン・チカイアーチー・シェップ→マリオン・ブラウン→マッコイ・タイナー→アート・デイヴィス & ジミー・ギャリソン (40分23秒)

B面のラストのテーマ前に短いドラムソロがあるかないかで判断すると分かりやすいです。

このレコードに対する感想や評価、また2つのテイクの聴き比べなどはもう既に多くの方がされていると思いますので、中古レコード屋は中古レコード屋らしく、色々とそれらのレコードにまつわるところを日本盤含めてぼちぼちと見ていきたいと思います。

まず「Edition I」が米国Impulseより1965年にリリースされます。
「Edition I」「Edition II」とそれぞれが呼ばれる理由については、その差し替えられた音源のデッドワックス部に「Edition II」と手書きで刻印されていたためです。

「EDITION II」の手書き刻印

「Edition I」という刻印はありません

ただ少し厄介なのが、この差し替えの際にジャケットに記載の収録時間などの詳細を一切変更しなかったことです。これは後まで変えられることはなく、ずっと時間表記は「Edition I」のままです。実際に「Edition II」に差し替えられたとき、レーベル側も告知などは行わずにサイレントで切り替えたのだと思うのですが(今だったら初回限定版のみ別テイク収録!とかありそうですけど)、リスナーの皆さんも結構無頓着だったんじゃないかなぁと思ったりもするんですが、その辺りのリアルタイムに「Edition IIに差し変わった!」っていう反応はあったんでしょうか。というよりも、いつ「Edition I」と「Edition II」と2つのテイクの存在に大衆が気づいたのでしょうか。と言った方がよいのかもしれませんね。

ライナーノーツを見てみると、現在知られているソロ・オーダーとは若干異なっています(デューイ・ジョンソンとフレディ・ハバードが逆に書かれています)。そしてライナーノーツにMarion Brownのコメントで「We did two takes – 録音は2回行われた」ことにも言及されています。そう、この2回行われた録音のうち、2回目の録音が「Edition I」最初の録音が「Edition II」としてリリースされることとなりました。

そして、discogsを見ていてもう1つ気になる点が。
1980年、米国のMCAプレスのものが「Edition I」にリストされているんですが、これほんとに「Edition I」ですかね。まったく同じラベル、ジャケットのデザイン(この時期もまだジャケット記載の収録時間は修正されていません)で「Editon II」が存在していることは確かなので、同じ体裁で封印された音源が何かの間違いであっても存在するとは思えないのですが。もし米国MCAプレスの青空ラベルで「Edition I」の実存報告などありましたらご教示いただければ幸いです。

続いては日本盤での“Assension”を見ていきたいと思います。

後編