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【雑記第14回】 握手と拍手と4チャンネルと – Black Jazz / Ovation 前編

“スピリチュアル・ジャズ”をレーベル単位で標榜するBlack Jazz RecordsはGene Russellをプロデューサー及び共同設立者の1人として、カリフォルニア州、オークランドを拠点に1971年(諸説あります)に設立されました。

そして、リリース第1弾は彼自身のリーダー作、Gene Russellの“New Direction”含む、ヴェテラン・ピアニストのWalter Bishop, Jr.、新進気鋭のキーボーディストのDoug Carn、そしてリーダー作を発表する時機を得なかったアンダーレイテッドなミュージシャンと言えるRudolph Johnsonによる4タイトルを1971年の8月に同時発売、そのスタートを切ったのでした。

Black Jazzの第一弾の中でリリースされたBJ/2の“Walter Bishop Jr. / Coral Keys”

“Walter Bishop Jr. / Coral Keys”のラベル

Black Jazzの型番号は「BJ/1」から始まり、「BJ/2」「BJ/3」・・・と番号が振られていきますが、翌年72年のカタログ7番目にあたる”Henry Franklin / The Skipper”から型番号のプリフィックスが「BJQD」に変更となりました。この新たに追加された「QD」の2文字、既にご察しの方もいらっしゃるかと思いますが、「4チャンネル」すなわち「Quadraphonic」を表す2文字でしょう。しっかりとジャケットの右上には「COMPATIBLE 4CHANNEL STEREO QUADRAPHONIC」、またラベルには「COMPATIBLE STEREO/QUADRAPHONIC」と記載もされております。ちなにこの期のSTEREO盤は存在しません。4チャン・オンリー。ですので7番目以降の型番号に「QD」が付いていないものは全て後年の再発盤になります。

Black Jazzレーベルにおいて初の4チャンネル・リリースとなった“Henry Franklin / The Skipper”

“BJQD/12″ではなく“BJ/12″となっているのは後年の再発盤

「BJQD」のプリフィックスは「BJQD/7」からBlack Jazz Recordsの最終作「BJQD/20」まで続いていきます。ちなみに「BJ/3」であるとのころの“Doug Carn / Infant Eyes”には4チャンネル盤が存在しています。これは同時リリースではなく後から出たんだろうなぁと思うのですが、型番はSTEREO盤も4チャンネル盤も同じ「BJ/3」なんですよね。後から出たのなら「BJQD/3」にしそうかもとか。

同型番ながらSTEREO盤と4チャンネル盤が存在する“Doug Carn / Infant Eyes”

こちらはSTEREO盤。4チャンネル盤は赤色のラベル。

ちょっとこれは与太話として聞いてください。型番号「BJ/1」から「BJ/6」はジャケットにもラベルにももちろん“STEREO”の表記があります。もちろんありますよ?でもプレスのマスター番号のプリフィックスが“A4RS-××××”なんですよね…なんか4チャンネルっぽさありません?関係あるのかな?と思って調べてみましたが残念。これはRCAインディアナポリス工場で使われていた番号のようでした。

元い。そんな感じで積極的に4チャンネルをリリースしていたBlack Jazz Records。なぜなのか。そこにはレーベルのもう1人の共同設立者であるDick Schoryの存在があります。彼自身パーカッショニストでありつつ、アーティストとしての専属レーベルでもあったRCA Victorの技術者としてRCA社独自の技術である「Dynagroove」録音などに従事してたDick Schory。そしてRCA退社後にOvation Recordsを立ち上げます。 元々、Dick SchoryとGene Russellは知り合いという訳ではなく、白人プロモーターの紹介で知り合ったとか。Dick SchoryとGene Russell。2名の共同設立といえども、プロデュースに関しては全面的にGene Russellに任せ、Dick SchoryはOvationを通して配給などでバックアップという図式です。

この2人の関係について。
ここまでが従来の範囲のBlack Jazz Recordsのお話…。
最近になってDick Schoryから裏話が語られました…。

後編