国内盤のレコードのほとんどには帯が付属しており、日本独自の文化として今日でもそれは引き継がれております。それとは別に国内盤のみジャケットが別のデザインのレコードという物が存在します。ただ、これは日本に限ったことではなくUS盤、UK盤、ドイツ盤など諸外国盤でも“独自ジャケット”が存在します。
こういった物を「デフジャケット」と呼びます。Different Jacketを略した通称で、愛好家の方からは「デフジャケ」と呼ばれて親しまれております。
通常盤とは異なるデザインのため生産量・流通量が少なく、オリジナル盤より高価になるレコードも多数ございます。
また、 “独自タイトル”という物もございまして、こちらはジャケットはもちろん、収録曲や曲順も大幅に異なります。いわゆる編集盤(ベスト盤やコンピなど)に近い物がほとんどですが、大枠で言えば一応「デフジャケット」なのでそのように表記される事が多いです。ちょっと混合しやすいですね。
“独自タイトル”はレア(高価)なものが多いです。ビートルズ、ボブ・ディラン、ザ・フー、ブラック・サバスetc…もう、レア盤ばかりです。
本コラムではお客様から買い取らせて頂いた国内盤 “独自ジャケット”を中心に少しご紹介させて頂きます。
目次
こちらは1978年に東芝ファミリークラブの通販限定で販売された物で、ジャケットの写真は1977年のアニマル・ツアーでの1枚です。オリジナルは1973年リリースで、かの有名なヒプノシスによるプリズム・ジャケットは誰でも一度は見た事があると思います。国内盤も同年にプリズム・ジャケットでリリースされております。
デフジャケ盤は世界中のコレクターからウォントが絶えず、2021年時点で数十万円はします。ちなみにこのジャケットで赤盤だったらブート盤(=海賊盤)です。
↓ ヒプノシスによるプリズム・ジャケット
Pink Floyd / The Dark Side Of The Moon
ザ・フーのデフジャケだとマイ・ジェネレイションのガールジャケットが有名です。そして国内盤のデフジャケの全て(たぶん)がペラジャケ仕様です。こちらはザ・フーのデフジャケの中でも収録曲、曲順ともにオリジナルと同じです。
↓オリジナル・ジャケットはこちら
The Who / The Who Sell Out
色味はオリジナルに近いですが、色々違います。ペラジャケ仕様で、帯は存在するのかもしれませんが、見た事がありません。ちなみにオリジナルと同じジャケットの国内盤ペラジャケも存在しますが、断然こちらの方がレアです。
↓オリジナル・ジャケットはこちら
Elvis Presley / Elvis’ Christmas Album
ジミヘンもデフジャケが多いです。やはりペラジャケが多いです。そしてレアです。帯付だとまたグッとお値段が変わります。
↓オリジナル・ジャケットはこちら
The Jimi Hendrix Experience / Axis: Bold As Love
高価なわけではありませんが、今回ご紹介する中でもお持ちの方が多いと思います。アーバンかつ爽やかなAORサウンドにピッタリのジャケットですね。これを見た後にオリジナルのジジむさ苦しいジャケットはちょっと…。
↓オリジナル・ジャケットはこちら
Bill LaBounty / Bill LaBounty
ディープ・パープルもデフジャケ、独自タイトルがいくつかあります。写真にはございませんがこちらは赤い帯が付属しています。で、実はUK盤、US盤もジャケットが異なります。
↓UK盤のオリジナル・ジャケット
Depep Purple / Shades Of Deep Purple
↓US盤のオリジナル・ジャケット
ロックばかりではありません。ソウルにもございます。
↓オリジナル・ジャケットはこちら
Aretha Franklin / Lady Soul
この次の2タイトルはちょっとご紹介するか悩みましたが、サワリだけご紹介します。
というのもそのタイトル1枚だけでリリースの多さと情報量がウンザリする山ほどあるので、機会がある際に別コラムにてご紹介できればと思っている所存でございます。たぶん。
※色味の違いは撮影時の照明によるものです
この1枚に限らずストーンズはデフジャケが多いのなんの。こちらはペラジャケの見開き仕様で、帯が金色の初回と、後発の紺色の2種類ございます。ただ、厳密に言うと定価が変わったりするのでさらに何種類かあります。それに並行してジャケットの表記も変わります。それを聞いただけでもメンドくさ大変そうでしょう?そして、上記のディープ・パープル同様にUK盤、US盤ともにジャケットが異なります。
↓UK盤のオリジナル・ジャケット
The Rolling Stones / Aftermath
↓US盤のオリジナル・ジャケット
ド定番ですが実はデフジャケです。あえて型番はご紹介しませんし、帯無しの写真にさせて頂きました。国内盤だけでも帯の種類、型番、盤の色云々…です。US盤に関しては、映画のサウンド・トラック仕様ですのでジャケットはおろか、収録曲も全く独自になります。
↓UK盤のオリジナル・ジャケット
The Beatles / A Hard Day’s Night
↓US盤のオリジナル・ジャケット
最後の2枚は本当にサワリだけになりましたが、あくまでもジャケットの違いのご紹介ですので悪しからず。上記にも少しありますが、厳密に突き詰めると帯の違い、定価表記、STEREOかMONOか等々ありますので、もうざっくりジャケットが違いますよという事を理解して頂ければ幸いです。
この“独自ジャケット”=デフジャケットはここで紹介した以外にもまだまだあります。家にあるレコードを探してみたら実はコレは…!という事が結構ありますので、ご紹介したもの以外にも気になるレコードがありましたら是非ともご連絡下さいませ。