みなさま、こんにちは。
人間誰しもドイツのアウトバーンを時速300kmくらいでブッ飛ばしたい衝動に駆られることってありますよね。でも「速度無制限の高速道路」として有名なアウトバーンも、今は130km/h以下の速度制限区間がどんどん増えていて、渋滞も結構あるみたいですよ。昔とは車の数が違うのか、だいぶ状況が変わってるんですね。
そんなわけで、弊社で買取させていただいたレコードから本日ご紹介するのはコチラ。
まだ渋滞もなく快適だった頃の作品です。
ドイツが生んだ偉大なる“テクノ(・ポップ)の始祖”、クラフトワークの74年4thアルバム。カラーコーンジャケの1st~3rdは、結成メンバーのラルフ・ヒュッターとフローリアン・シュナイダーを中心とした、よりフリーフォームで実験的な、いわば“クラウトロックらしい”音楽性でしたが、本作では新メンバーにヴォルフガング・フリューアが加わり、ミニモーグも導入して明らかなネクストフェイズに突入。クラフトワークのパブリックイメージに近いサウンドを確立した最初のアルバムと言えるでしょう。本作のヒットによりクラフトワークは一躍国際的な存在になりました。コニー・プランクがエンジニアを務めた最後のアルバムでもあります。
ちなみに私の初クラフトワークはこのアルバムでした。当時高校生の自分に彼らの音楽的功績なぞ理解できるはずもなく、“テクノの始祖”にしちゃヤケに牧歌的なサウンド、そして“アウトバーン”にしちゃ随分のんびりしたテンポに肩透かしを喰らったのを憶えています。でも、この妙に人懐こい感じは昔から大好きでした。
ジャケットにはテールフィンがイカすメルセデスW111ーーこれは65年式の230Sでしょうかね。最高速165km/h。前を行くビートルはMAX125km/h。穏やかな時代です。
さて、今回買取させていただいたレコードはこちらのUK再発盤でした。
最初に載せたUSオリジナル盤のジャケット画像とはイラストが異なりますね。
手前に描かれていた“メンバー自身の車”の運転席が消滅しています。メンバーの意向だったのか、85年の再発盤からこの“運転席なし”バージョンに変更されました。
そもそも初期のUK盤はこのとおりスマートなデザインの別ジャケでした。ニュー・オーダーなどのアートワークで有名なピーター・サヴィルもこのジャケットに影響されたそうです。
85年の再発時からはUK盤も含めて上の“運転席なし”ジャケに統一され、代わりに内袋にこの青白デザインが使われるようになりました(デザイン自体は若干異なります)。近年の再発盤やデジタル配信では再びこの青白デザインがフロントカバーとして採用されています。
お次にバックカバー。
こちらもバンドの演奏シーンにガラッと差し替えられています。
元のデザインはこのとおり。
そりゃ後部座席に4人は窮屈すぎますけど、こっちの方が全然いいですよねぇ?
フロントカバーの運転席削除も含め、メンバー達のミステリアスで無機質なキャラクター作りにはこのユーモアが邪魔になったのかな~という気はしていますが。
今回買取させていただいたものにはバーコードが印字されているので、製造年の特定は容易です。1985年の英Parlophone盤ですね。
念のため盤面のマトリックスも確認すると・・
A面:EJ 2400701 A-1-1-1-X1 D NICKZ
B面:EJ 2400701 B-1-1- 1-X1 D NICKZ
なので間違いありません。
それまで国やレーベルによってバラバラだったラベルのデザインも、85年盤からは上のスマートな黒白タイポグラフィに統一されました。
それでは、また次回お会いしましょう。
・・あ、出張買取はいつも安全運転でお伺いしますのでご安心くださいませ。
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