今ではジャズ、またNew Seriesにおいて現代音楽~クラシックの一大レーベルとして、その「美」を馳せるECM <Editions of Contemporary Music> レコード。1969年にミュンヘンでKarl Egger、Manfred Eicher、Manfred Scheffnerによって設立されたインディペンデント・レコード・レーベルです。今では言わずとしれたレーベルですので、その詳細はこちらでは割愛。
まず第一弾としてリリースされたのが、当時ドイツに居を移していたMal Waldronによる「Free At Last (ECM-1001)」です。この産声を上げたばかりのヨーロッパのインディー・レーベルの作品がすぐに日本盤としても発売されているのは驚きですし、こうやって日本にレコードが多く残されている所以の先人たちに心から敬意です。
ECMは1973年にトリオ株式会社/TRIO RECORDSと契約するまで、日本国内での製造/販売については間にエージェント/代理店を立ててワンショットでタイトル毎に契約をしていました。その辺りを見ていきたいと思います。
そのエージェント/代理店となったのが“ハラ・ミュージック”(ひょっとしてあの今は無き“原楽器”と関係があるのか?まぁ無いよね、と思って調べてみましたが分かりませんでした)。殆どの場合において、ジャケット、インサート、ラベル等にそのクレジットはありませんが、東芝音楽工業株式会社/オデオンからリリースとなった“Marion Brown / Afternoon Of A Georgia Faun”のラベルの最下部に“HARA MUSIC”と、その記載が見て取れます。ちなみに東芝音楽工業株式会社/オデオンがリリースしたECM作は本作のみだったので、このリリースが無ければ確認できないところでした。ありがとうございます東芝音楽工業。
さて、まず先の第一弾“Mal Waldron / Free At Last”は日本ビクター株式会社が持つ“GLOBE”レーベルからのリリースとなります。1970年のリリースです。オリジナルにも付属する楽譜も付属し、見開きの半カンガルー・ポケットというオリジナルを踏襲したデザインで愛がありますね。ただし、ラベルはGLOBEレーベルのデザインです。ライナーノーツ等で「ECMとは何ぞや」的なことは語られてはいません。この年、ビクターはMal Waldronの2月の初来日を機に、日本企画盤の“Tokyo Reverie (SMJX-10103)”、“Tokyo Bound (SMJX-10089)”、“Spanish Bitch (SMJX-10113)”をリリースしており、この後も日本オンリーとなる作品を多くリリースしていますので、その流れでの権利獲得/リリースと言えそうです。“Mal Waldron / Free At Last”の国内盤の型番号は“SMJX-10098”ですので、型番号順とすると少なくともMalの来日後に国内盤としてリリースされたことが伺えます。
マトは「ECM-1001」
さて、始まりました日本盤ECMのリリース。次回はトリオ株式会社/TRIO RECORDSと契約するまでのリリースを見ていきたいと思います。
つづく