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【雑記第8回】Atlanticのラベル「ブルズアイ」におけるインターネット以降の「集合知」- 後編

前半より

このインターネットの普及により「見たことないけど珍しいんだろう」との個々人の捉えから「世界中の誰も見たことがないもの」との周知となったAtlantic Records <アトランティック・レコーズ>の一色ラベルが存在しないブルズアイ・ラベルのタイトルたち。

「全てのブルズアイ・ラベルのタイトルは一色ラベルの再発」「初版盤にブルズアイ・ラベルは存在しない」といった命題は吹っ飛んでしまったのでしょうか。“悪魔の証明”としてこの場合は、その反証としてこれらの一色ラベルの存在を見つけなければいけません。しかし見つかっていない以上、これらの命題は偽ということになるでしょう。
つまり、今ではこれらのブルズアイ・ラベルを集合知としてオリジナル盤とみなしている訳です。

一色ラベルが見つかっていないためにブルズアイ・ラベルがオリジナルとされているOrnette Colemanの“The Shape Of To Come”

ただ、基本的にはこの命題はカタログ上においては当てはまるものと考え、あくまでこれらはイレギュラーな存在と考えた方がスムースかと思います。ではなぜイレギュラーが発生してしまったのかをなんとなく探ってみましょう。結論としては答えは出ませんでしたのであしからずです。ごめんなさい。

まずイレギュラーなブルズアイ・オリジナルのマトリックス(A面のみ)を調べてみましょう。

「Charlie Mingus / Blues and Roots (1305番)」
MONO : 11641-A AT
STEREO : ST-A-59205 AVCO
「John Coltrane / Giant Steps (1311番 STEREOのみ)」
MONO : 11637-A AT
STEREO : ST-A-59201 AVCO
「John Lewis / Improvised Meditations and Excursions (1313番)」
MONO : 11591 A AT
STEREO : ST-A-59167-A AVCO
「Ornette Coleman / Shape of Jazz To Come (1317番)」
MONO : 11611 AT
STEREO : ST-A-59176 AVCO
「Wilbur DeParis / That’s a Plenty (1318番)」
MONO : 不明
STEREO : 不明

上記はDiscogsからの転記ですが、Stereo盤に共通する「AVCO」はAvco Labsというマスタリング会社によるマスターの製作であることを示しています。もしかしてこのAvco Labsが関係するのでは?と引き続き調べてみましたが、一色ラベルでも複数存在するため、これを論拠とするのは無理筋でした。ただ、ブルズアイ・オリジナルのStereo盤が全てAvco Labs制作であることは間違いありません。

デッド・ワックスに刻まれたAVCO刻印

残る可能性としては
①なんらかの理由で初版がリリースされず、セカンド・プレスのみが世に出ることとなった
②型番通りにはリリースされておらず、一色ラベル廃止後に一色ラベルに該当する型番号を持ったこれら作品のリリースとなったため、ブルズアイ・ラベルを使用した
③プレス工場による違い

辺りが考えられるでしょうか。
この中では割と②説が有力としてあがっていたりするのですが、それだとブルズアイ・ラベルの「Ornette Coleman / Shape of Jazz To Come (1317番)」より一色ラベルの「Ornette Coleman / Change Of The Century (1327番)が先に世に出ていたことになってしまいます。流石にそれはないでしょう。
という訳で未だクリアになっていないブルズアイ・ラベル・オリジナル盤たちのロマンでした。
(ちなみに8000番台にもブルズアイ・ラベルをオリジナルとするタイトルもあります。沼です。)
お付き合いいただきありがとうございました。

8032番のChris Connorの“Witchcraft”もブルズアイ・ラベルがオリジナルとされています